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 ラットレースとはずみ車

「金持ち父さん貧乏父さん」の本が大ヒットして以来、お金に関して簡単に書き下した本が増えている。これらの本でよく書かれているのは、サラリーマン生活はラットレースだという事。これは的を得ている。累進課税のために働けば働くほど税金が増えていき、労働報酬からどんどん出費が増えていく。しかも、住宅や車を手に入れるたびに、維持費・税金・ローン等の出費が増えていき、更に働かねばなくなる。

別にラットレースが悪いわけではないのだが、税金のパーセンテージが上がって行くという事は、働けば働くほど労働報酬効率が落ちて行くという事は気にしなくてはならないと思う。

そこで考えなければならないのが、総所得に対する支出率を抑えていく事だ。ここで、間違えて欲しくないのは、支出率を抑えるということと、支出を抑える事は全く別である。節約は大変大事だが、ケチケチになってしまっては人生を楽しむチャンスがどんどん失われてしまう。

ここでは、現在の消費生活となっているラットレース(回し車)の中から、はずみ車にエネルギーを蓄える必要性を記す。

まず第一点は、税制にある。日本においてはサラリーに対する税制度は、累進課税なのである。これは、サラリー収入を増やそうとすればするほど、純収入が増えにくくなる事を意味している。純収入が増えにくくなるというこは、働けば働くほど対価が減る事を意味する。そうは言うものの、社会福祉等を考えれば、累進課税は妥当な制度だと思う。これはしょうがないだろう。

でも、累進課税が無いとしても考えなければいけないことがある。個人を法人としてみたてると、総資産売上高(ROI)が急激に落ちているという点だ。つまり、サラリー収入があると大概の人は預貯金として蓄える。まぁ、預貯金の年率を3%と仮定しよう。預貯金が無い人が最初の年は収入の中から100万円貯金し、翌年から貯金の割合を10%ずつ増やしていく事にしよう。では、以下では実際のROIがどのように変化していくかを記す。

1年目:貯金:100万円→ROI=
2年目:貯金:103万円+110万円=213万円→ROI=(213-100)/100=113%
3年目:貯金:219.39万円+120万円=339.39万円→ROI=(339.39-213)/213=59%
4年目:貯金:349.5717万円+130万円=479.5717万円→ROI=(479.5717-339.39)/339.39=41%
5年目:貯金:493.958851万円+140万円=633.958851万円→ROI=(633.958851-479.5717)/479.5717=32%
10年目:貯金:1634.35万円→ROI=16.55%
20年目:貯金:4977.16万円→ROI=9.37%

まだ、これはマシな計算だ。毎年100万円しか預金できないと考えると

1年目:貯金:100万円→ROI=∞
13年目:貯金:1561.78万円→ROI=10.5%
20年目:貯金2687.04万円→ROI=6.98%

ここでは、インフレ率を考慮してないので、インフレ率が預金利率と同じであると考えれば、実質利率0と考える事ができる。その場合は、

11年目:貯金:1100万円→ROI=10%
21年目:貯金:2100万円→ROI=5%

となる。つまり、累進課税が無いとしても、毎年同じように働いていればどんどん資産効率が悪くなっていくのである。ここで、これを見た読者はROIが5%ならば、まだ変な会社よりも資産効率が良いじゃないか?と考える人がいるだろう。それは大きな間違いである。

考えなければならないのはここでの計算は、質素な生涯独身貴族ならば可能な生活における計算である。実際のところ、ある程度お金が貯まったところで、住宅ローンを組み始めるので実際には、ROIがマイナスになるのが普通である。

 

第二点は、殆どの人は収入が増えたのに見合った生活を送り始めるからである。つまり、収入が増える事によって、消費が増えることを意味する。これにより、いつまでたっても、(収入-支出)が増えない事を意味する。場合によっては、マイナスになるのである。

 

第三点は、安定したサラリーが入ると長期ローンを安易に組む事にある。安定したサラリーが入ると、住宅などをローンで買おうという意欲がおきやすい。これは、サラリーが安定していれば、将来の生活設計がしやすいからである。確かに、ローンで購入する事は否定はしないが、ローンを組んで購入する物は減価償却しやすいものなのだ。使っていれば物は劣化するのだ。これによって、住宅を購入する人の中には債務超過になっている人がいる。

話がすこし横にそれるが、人々の中には、消費者金融から借りる借金と住宅ローンや自動車ローンは違うと考えている人がいるが、これは大きな間違いである。貸し手側から見れば、消費者にお金を貸し付けて利子で儲けるという手段はどの分野であっても同じなのである。

 

以上全てに共通しているのは、サラリーが安定的に増えるに従って、支出が増えるという点である。これをやっている以上(収入-支出)/総資産は増えていかないのだ

 自転車を必死でこいでも、ある一定の速度になるとスピードが上がらなくなる。これは何故かと言うと、空気抵抗がスピードの上昇と共に上がるのだ。ならば、MAXのスピードで自転車を漕ぐのではなくて、ある程度スピードが出たら、それ以上に漕いだ時にはその力をバッテリーやひずみ車に貯めれば良いのだ。そうすれば、疲れたときにはバッテリーやひずみ車から蓄えたエネルギーを引き出せばよいのである。もし、自分が将来的に使わないのであれば、そのエネルギーは必要とする人に売ればいいのである。


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