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 優秀な会社とは

良く、自分が勤める会社を誇る人がいるけれども、それは本当に誇れることなのだろうか?もちろん、会社として優秀であれば誇るのは構わないのだが…。で、実際に誇る人の発言はどういうのがあるのだろうか?そして、その発言の落とし穴はどこにあるのだろうか?

つまり、今上げたような基準では会社は優秀とは言えない。ちょっとその前に、「優秀」の意味を定義しておく。ここでの優秀とは、経営者・従業員および株主にとって利得のあるという意味である。

例え従業員が多くなろうが、一人当りの収益力が落ちれば優秀だとは言えない。例え、資本金が大きいと言えども、それは回転資本が大きいという意味だけで、収益力があるかどうかは別問題である。例え、売上が大きかろうが、粗利益が低ければ収益力が無いという事である。例え、ROEが高かろうが借り入れが大きければ、ちょっとした事業のつまづきで会社の運命が決まる。例え、連続で増収増益だろうが、一人当たりの従業員の収益力が下がっている事だってありうる。

それでは、優秀な会社とは なんなのであろうか?

投下資本に対して、投下資本以上のキャッシュをリターンする会社である。キャッシュでリターンという事が重要である。

投下資本と同じ額のキャッシュを取り戻せば、少なくとも同一規模の再投資を行う事ができる。しかし、投下資本と同じ額のキャッシュが戻らない場合は、最初と同一規模の再投資をしようとした場合には、増資もしくは借り入れを行わなければならない。

この観点から見ていくと、上場企業といえども優秀な会社というのは少ない。もちろん、帳簿上では増益を実現している会社は多数ある。しかし、増益を実現しているにもかかわらず、キャッシュが枯渇していき、借り入れを行っている企業は少なくない。(もちろん、借り入れが悪いとは言っていない。ただし、持続的にキャッシュが底をつき、借り入れ(比率)がどんどん増えていくのは問題である。)

では何故、一見すると調子がよさそうに見える会社なのに、優秀な会社とはいえない会社が存在するのだろうか。それは、資産はキャッシュの他に、価値のある土地などで構成されているにもかかわらず、有利子負債というのは全て現金で返済しなければならないことによる。具体的には以下のようである。

企業は通常、設備投資をキャッシュで行う。設備である以上、固定資産となる。つまり、流動資産が減る。

ここで、仮にこの設備投資を全部借金で行ったとする。その場合、借り入れ金の返済はキャッシュで行う必要性がある。財務諸表上では、営業で得られた利益を利用して、借入金の返済をしただけで利益を計上することができる。もちろん、会社の資産が大きくなったという観点から見れば、この会社は利益を得たと言える。しかし、この会社は、ただ単に設備が大きくなっただけで、キャッシュを得たわけではない。つまり、この会社は自由に処分できるキャッシュをこの設備投資によって得たわけではないのである。

自由に処分できるキャッシュが増えなければ、従業員に対する給料を上げることはもちろん、株主への配当を上げたり、会社が自由に再投資をするための案件を増やすことも出来ない。

上記に対する反論として、固定資産が増えれば、担保能力が増加して、さらなる設備投資が行えるのではないか?と思う人もいるでしょう。しかし、いくら設備を増やしたとしても、会社が自由に処分できるキャッシュを得る事ができないならば、意味が無い。もう一つの反論として、借り入れ金を返済し終わったならば、その固定資産が産むキャッシュは、自由に処分できるキャッシュになるのではないか?と思う人もいるでしょう。しかし、固定資産は時間が経つと朽ちていきます。設備の老朽化を防止するために、キャッシュが必要です。さらに、最初の設備投資で導入された設備が生み出す製品の殆どは時間が経てば利益率が落ちてしまいます。DFCの考えを導入すればわかるとおもいますが、将来の利益は現在の価値に置き換えると大きく割り引かれます。しかも、同一設備で作られる製品の将来の利益率が下がるとなれば、その現在価値はさらに低いものになると考えざるおえません。

つまり、会社が未来永劫倒産(清算)しないと仮定するならば、固定資産を増大させる会社よりも流動資産を生み出す能力がある会社の方が優秀な会社と言えるのである。(もちろん、遊休資産を速やかに売却するような会社ならば、この限りではないですが…、そんな会社少ないですね。)

各プロジェクトに掛かった負債は、早く返済する事である。あるプロジェクトで予想利益以上の収益がでた場合には、そのプロジェクトによって会社全体の利益が底上げされたとしても、従業員のボーナスを極端に高くしたり株主に対しての配当金の額を上げるのではなく、そのプロジェクトに対する借入金を繰り上げてでも返済するべきである。それにより、そのプロジェクトが将来的に生み出すキャッシュを底上げできるからである。

将来的に生み出される可処分キャッシュが増大すれば、それにより、会社は再投資案件の採択数増大の可能性を大きく出来るし、従業員の給料を増やしていくことも可能になるし、株主に対して配当を厚くする事もできる。

会社の存在意義とは、世の中の人にとって役に立つことである。これを元に拡大解釈すれば、利益が出ないという事は、他の会社や人でも同様の事ができるという事を意味している。よって、優秀な会社とは世の中の人により大きく貢献する会社と定義されるべきなのでしょうね。ただ、現状においては、貢献度を測る指標がお金などで判断するしかないのでしょう。だからこそ、本当に優秀な会社は見つかりにくいのかもしれません。


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